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税効果会計を外部委託すべきか?——判断基準と活用のポイント

税効果会計が複雑化する背景

上場企業における税効果会計は、年々その重要性と複雑性を増しています。背景には以下のような要因があります。

会計基準の高度化:繰延税金資産の回収可能性判断は、企業分類や将来課税所得の見積もりなど、専門的な判断が求められます。監査法人からの指摘事項も細分化し、対応の負荷が増大しています。

グループ法人税制の影響:完全支配関係にある国内グループ間取引では、税務上の損益認識時期が会計と異なるケースが多発します。寄附金・受贈益の申告調整、固定資産の譲渡損益の繰延など、税効果の計算項目が増加します。

M&Aや組織再編:企業買収時ののれんやPPA(取得原価配分)、税務上の適格・非適格判定によって、繰延税金資産・負債の計上額が大きく変動します。連結納税制度や単体納税の選択によっても計算ロジックが異なります。

国際税務の複雑化:海外子会社を持つ企業では、外国税額控除や外国子会社配当益金不算入制度、タックスヘイブン対策税制(CFC税制)などが絡み、税効果の計算範囲が広がります。

これらの要因により、経理部門の担当者が通常業務と並行して税効果会計を正確に処理することは、時間的にも専門性の面でも困難になっています。

自社対応 vs 外部委託の判断ポイント

税効果会計を自社で完結させるか、外部の専門家に委託するかは、企業の体制やリソース状況によって判断が分かれます。以下の比較表を参考に、自社の状況を整理してみてください。

項目自社対応外部委託
専門性担当者の習熟が必要税務・会計の専門家が対応
コスト人件費のみ(見えにくい)委託費用が明示的
処理速度属人化リスク、繁忙期は遅延スケジュール通りに進行
監査対応担当者が直接説明専門家のサポートあり
柔軟性社内情報へのアクセスが早い情報提供のタイムラグあり
品質保証担当者のスキルに依存専門家のチェックが入る

自社対応が向いているケース

  • 税務・会計に精通した担当者がいる
  • グループ構成がシンプルで、税効果の計算項目が少ない
  • 年間を通じて業務量が平準化できている

外部委託が向いているケース

  • 担当者の退職・異動リスクがある
  • 監査法人からの指摘対応に時間を取られている
  • M&Aや組織再編が頻繁にあり、都度計算ロジックが変わる
  • 決算スケジュールが厳しく、内製では間に合わない

実務上は「完全な外部委託」ではなく、一部を外部に出し、最終判断は社内で行うというハイブリッド型が現実的です。

外部委託する場合のスコープ設定

税効果会計の外部委託を検討する際は、どこまでを委託し、どこを自社で保持するかを明確にすることが重要です。

委託範囲の例

  1. 計算作業の代行:別表五(一)調整や繰延税金資産・負債の明細作成など、定型的な計算業務を委託。社内は情報提供とレビューに専念。
  2. 回収可能性の判断サポート:将来課税所得の見積もり、企業分類の判定、スケジューリング可能な一時差異の検討など、専門的判断が必要な部分を外部専門家と協議。
  3. 監査法人との調整支援:監査法人からの質問への回答資料作成、論点整理、代替案の提示など、コミュニケーション業務を専門家がサポート。
  4. 制度改正への対応:税制改正や会計基準の変更時に、影響分析や計算ロジックの見直しを委託。

委託しない方が良い範囲

  • 経営判断に関わる最終的な見積もり(将来計画の前提など)
  • 社内の機密情報に深く関わる事項
  • 日常的な仕訳計上や勘定科目の設定

スコープ設定のコツは、「判断」と「作業」を分けることです。専門的な判断は外部の知見を借り、最終的な意思決定は社内に残すことで、品質とスピードを両立できます。

外部委託を成功させるポイント

外部委託を導入する際は、以下の点に注意してください。

  • 情報提供の体制を整える:税務申告書、連結パッケージ、事業計画など、必要な資料を迅速に提供できる仕組みを作る。
  • コミュニケーションの頻度:月次や四半期ごとに定例ミーティングを設定し、進捗確認と論点共有を行う。
  • 引継ぎの文書化:計算ロジックや前提条件をドキュメント化し、担当者が変わっても品質を保てるようにする。

当事務所では、上場企業グループの税効果会計に関する計算支援から監査対応まで、企業の状況に応じた柔軟なサポートを提供しています。まずはお気軽にご相談ください。

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